名古屋市科学館館長/地球環境研究センター客員研究官
樋口 敬二
1990年12月3日から7日にかけて、北イタリアのコモ湖畔にあるロックフェラー財団の山荘ベラジオで開かれた地球変動
の解析・研究・研修システム (Global Change SysTem for Analysis, Research and Training:START)の準備会合に出席
して以来、本2000年3月26日から30日にかけて、パキスタンの首都イスラマバードで開かれたアジア太平洋地球変動研究
ネットワーク(Asia-Pacific Network for Global Change Research:APN)の会議に出席し、
SPG (Scientific Planning Group)議長の任を終えるまで、まる9年間とだえることなく、GO (Governmental Organization)、
NGO(Non-Governmental Organization)の地球環境研究のグローバル・ネットワークに携わってきた。
この間、名古屋大学、中部大学、いずれも定年を迎え、研究の現場から離れたので、本年をもって地球環境の国際組織
から身を引くことができて、ホッとしている。
ところで、ネットワークというものも、目的、機能によって様々な形態があるが、地球環境研究のためのネットワーク
としてSTARTは次のような構成になっている。地球全体をいくつかの地域に分割し、このうち、現在のところ8つの地域に
地域内研究ネットワーク(Regional Research Network:RRN)をつくり、Regional Centreを中心にResearch Node、Regional Site
が研究連絡、プロジェクト推進のために、図1のように結びついている。この図のネットワークの原案は、私自身が考え
て提案したものだけに思い出が深い。

図1 地域内研究ネットワーク(Regional Research Network:RRN)の機関的構成
| FUNCTIONS | |
|---|---|
| Regional Centre | 事務局および次の事項の調整:ネットワーク、データと情報システム、モデリングと総合化 |
| Research Node | テーマに基づく研究活動のための主要機関 |
| Regional Site | 関連する研究機関またはテーマに基づく活動によってグループ化された施設 |
もっとも、概念図はできていても、現実にCentre、Node、Siteはどの研究機関であるかとなると、地域により、国によって様々である。
一方、APNの方は、GOであり、かつ後発であるために、STARTのような構成をもつまでに至っていない。
ところで、これまで地球環境研究センター(CGER)のメンバーは、START、APNの運営に関与し、活動に参加してきた。
その間、例えば、START/東アジア地域での地球変動研究地域ネットワーク計画委員会(TEACOM)地域気候モデリングワーク
ショップに参加した江守正多研究員が述べているように(地球環境研究センターニュースVol.9 No.5、1998年8月号を参照)、
その体験から国内における研究チームの協力体制に関する提言が生まれたりしている。
そこで、これからは、CGERのメンバーの参加とともに、CGERという機関全体として、これらのグローバル・ネットワーク
の中でどんな位置を占め、どのような役割を果たしていくのかが大切であると思われる。その両者に深いかかわりを持って
きた者の一人として、この面におけるCGERの活躍を大いに期待したい。